500円の価値
僕はよくお金を落とした。
しかもなぜかそれはいつも五百円だった。
そしてそれは幼稚園児の僕にとって人生が変わるほどの大金だった。
その証拠に、何度目かに五百円を落とした時、
もう家に帰れないと決意して近くの広場に自分の家を造った。
段ボールと枯れ草でできた素敵な家。
僕にとって五百円は家をつくるよりも大金だった。
それからはや30年余り。
自分にとって現在の大金とはいったいいくらなのだろう。
親に怒られるのを恐れて家出をする必要はもうないが、
世の中からドロップアウトして行方不明者になる決意をさせるのは
いったいいくらなのだろう?
そう考えると、
その金額が何だか今の自分の価値を決めるような気がしてしまう。
保険金を当てにして自分の命を捨てても手に入るのは1億がいいところ。
じゃあ1億が大金かというと、
新聞紙面を賑わすお役人達にとってはたいした金じゃなさそうだし……。
1億? 5億? 10億? それとも50億?
この芝居(GOOD MAN!)をつくりながら
ずっと考えていたことが一つある。
人生も半分に近付き、どう見積もっても残りは4・50年がいいところ。
この先、果たして僕は、
あの頃の五百円以上の大金を手に入れることができるのだろうか……。
(「GOOD MAN!」パンフより)
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